脈々と続いてきた伝統文化に触れると、昔の人との繋がりを感じます

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曇りがちな朝、待ち合わせのカフェにいると、華やかな和装の女性がこちらに。遠くて表情が見えないけれど、きっと微笑んでいらっしゃるんだろうとわかる柔らかな空気感の方です。和装といってもこなれた感じ、楽しんで身に着けていらっしゃるのだろうというのがよくわかります。帯は気に入った生地をご自分で縫って作ったというモダンな花柄で、半襟も和服の端切れでやはりお手製。

 

 

「帯も自分で自由に作れるってわかると、もう面白くって。どこかにヒントになる素材はないかなと、町を歩いていてもつい気になってしまいます。」

 

 

KUMIKOさんは和装のプロ、日本人・外国人向け着付け・着せ付け講師の他、服装を学ぶ学生がデザインした着物ファッションショーの衣装のコーディネートや、大使館などでの着物イベント、外国人や留学生の着物体験、古くからの染め物の町中井の「染の小道」イベントに関わられたり、英語がお好きなこともあり、内外に広く着物や和の伝統に関わるお仕事や活動をしていらっしゃいます。

 

 

「高度成長期を経験した世代の親に育てられた私の世代は、舶来の物をありがたがる傾向がありました。でも大人になってふと足元を見てみたら、日本にはなんてすばらしい文化があるんだろう、これまで知らずにいたなんて、もったいなかったと気づいたんです。

 

着物との出会いは最初は着付けを習ったことから。着る楽しさだけでなく、織りや染め、柄の知識は奥が深くて興味がつきないし。すべて直線で縫われているから、ほどいてしまうともとの反物の長方形になるんです。また縫い直せばリサイクルも簡単にできる。合理的でしょう?日本人なのにバブル世代の私たちってなんだか外国人のような目線で日本文化を新鮮に感じるようなところがありますね。」

 

 

そんな彼女がHiraganaのアクセサリーに出会ったのはこの夏、國廣が銀座の三越で催事をしている時のこと。

 

 

「若い子が何かやっている(笑)書家なのかしら、とのぞいてみたら、アクセサリーだったの。初めはモチーフがひらがなだとはわかりませんでした。文字のグッズってゴツゴツした漢字や、梵字が多かったりするでしょう。女性らしいやわらかくてシンプルなデザインのものって横文字ではあったけれど、まさかひらがなだなんて。きれいだし、特別だと思って一つ購入しました。

 

 

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『とうきょう』を選んだのには、ふたつ理由があります。『さくら』も素敵で迷ったんですけど、ひとつは顔の形に合っていて映えると思ったから。もうひとつは東京生まれだからです。東京に住んで仕事をしているのに『NY』や『PARIS』をつけているのも、、、と思っていたので、これならしっくりくる。改めてひらがなって連ねて書くとフォルムがきれいなんですね。」

 

 

お洒落が大好きな方のこと、もちろん身に着けるピアスひとつにもこだわりがある、特に大人の女性が使えるメッセージアクセサリーを探していたこともあり、Hiraganaを気に入ったくださったようです。

 

 

「アクセサリーを買ったとき、私の名前をひらがなで書いてくださったのですが、女性らしい柔らかな線で、改めてひらがなってきれいだなあと思いました。書いたものをそのままアクセサリーにしてみようなんて、今の人の発想ですよね、自然体で素敵です。

 

事業を始めて一年くらいの短い時間でこんなにみなさんから愛されるようになったのには、理由がありますよね。アイデアはもちろんですけど、書の基礎があるから、そこから派生する形が面白みや深みがあって、大人が身に着けられる魅力的なものになっているのだと思います。」

 

 

外国人や若い人に着物を着せてあげる機会も多く、小物などを工夫して可愛らしく着せてあげることで、普段はあまりなじみのない方々にも和装の面白さに気づいてほしいとか。

 

 

「一部の豊かな人や伝統系のお仕事・習い事の人たちだけのものではない時代になりましたね。外国人でもネット動画などで着方を学んで自分で着たり、コレクションしているんです。リサイクル着物も広く出回って、ここ数年着る人は増えていますね。

 

日本人は和服的な発想が得意ですよね。帯や半襟、帯締めなどの決まり事を守りながら、ある程度制限された中で最大限工夫してお洒落を楽しむようなことが得意だなって思います。その中で織りとか染とか柄とかわかっている人の間で背景や意味や奥行きを共有して楽しむ文化というか。洋服は自由でラクですけれど、和装は制限があるからこそ面白いということもあります。

 

書もそうですが、着物や和の文化は、ずっと昔の人から脈々と続いているでしょう、そういうものに触れることで、自分も祖先とか日本の昔の人とつながっているのだと感じられることが、なによりの喜びです。」

 

 

秋が深まり和服が似合う季節、KUMIKOさんが関わるイベントも数多く、学生がデザインして、染めた布で仕立てたユニークな着物がいろいろ楽しめるショーなども開催されます。また「箪笥びらき」プロジェクトとして様々な世代の人がどのように着物を保存しているか、というリサーチも行っているとか。これからも着物や和の文化に関わる仕事を進めるKUMIKOさん、ますます活躍の場を広げていかれるでしょう。
(ライター/タコショウカイ モトカワマリコ)

 

 

染の小道
http://www.somenokomichi.com/
箪笥びらき The Kimono Closet
https://kimonocloset.com/

 

 

 

 

・・編集後記・・
KUMIKOさんは、アグレッシブに前向きで美しく、それでいて可愛い方でした。ありがとうございました!
“とうきょう”のモチーフを作った理由を少しお話します。1年半前Hiraganaアクセサリーを始める前から、日本人が”I♡London””I♡NY”と他の土地に憧れを持っているより、日本の都市がいちばん好きという気持ちでいた方が楽しいのではないかと考えていて、日本人に受け入れられる”東京”の文字を形にしてみたいと思っていました(実際にはTシャツの試作をつくりました)。私は広島から東京に来てもうすぐ5年経ちますが、さまざまな街やさまざまな人からたくさん刺激を受け、その中で、”自分らしく生きる”ことってなんだろうと日々自分に問いかけています。私にとって”とうきょう”はいろんなことに挑戦できる街(と、安心して暮らせる国の都市)というイメージです。みなさんにとって”とうきょう”のイメージはなんですか?(Saori Kunihiro)

 

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